イヴリー・ギトリス石巻を訪れて。

イヴリー・ギトリス
石巻を訪れて・・・東日本大震災被災者支援のための
緊急来日ツアーの全容!

「一晩中寝ずに考えていた。今すぐにでも日本を訪れたい。(2011/3/13)」
「多くの演奏家が来日公演を中止しているが、だからこそ私は日本に行く。
私が行くことで、日本がコンサートを行うには全く支障がないことを
皆に分かってもらうつもりだ。(2011/4/29)」

震災直後から、日本へのメッセージを送り続けていたイヴリー・ギトリスが、去る今年6月1日から10日にかけて、東日本大震災の被災者支援のため緊急来日し、宮城県石巻市を訪れて慰問演奏を行うと共に、東京・名古屋にて3度のチャリティコンサートを開催いたしました。以下、簡単ではございますがその様子を報告させていただきます。


6月1日(水)  石巻訪問
6-1.1高台から.JPG仙台から1時間半程度かけて地震で波打つ道路を通り車で石巻市内に入った。死者・行方不明者は5000名(6/1当時)に及び、湾岸はまだ痛々しい津波の跡が残っていた。急な山道(この日和山のおかげで多数の方が助かったという)を登って石巻市立女子高校に入り、校長の話(家を津波で流され60日を学校で過ごしたという)を伺ってから体育館を訪れた。ここでは200名を超える生徒や避難している近所の方、支援中の自衛隊員など暖かく迎えて下さった。励ましの言葉をかけ「浜辺の歌」などを披露し、みんなに歌うように促す。ギトリスの弟子、早稲田桜子さんが加わりエルガー「愛のあいさつ」を2人で演奏すると徐々にほぐれ、観客がハミングで加わり、笑顔も出てきたところで終了した。ここで氏はハッピーエンドの物語を語り「幸せになる権利は皆にある、明るい未来は来る」というメッセージを送った。
学校の裏から津波の被害状況を一望できる場所に行き、いかに悲惨なことが起きたかを実感する。目の前には全焼した小学校、遠くには未だに残るがれきの山。復興という言葉が遠く聞こえるような印象もあったが、校長の「涙の3月、決意の4月、行動の5月」という言葉から人が力を取り戻し徐々に復興も進んでいくのだと感じる。
次に、門脇中学校の音楽室で吹奏楽部の生徒たちと交流。バッハ・無伴奏パルティータの演奏に対して生徒が「ふるさと」をお礼として演奏してくれた。もの悲しくも力強い演奏にギトリス氏は涙を流し「君たちとは音楽で繋がっている。音楽をずっと続けてくれ。」とメッセージを送った。続いて避難所となっている体育館に移動したが、重い雰囲気を感じ取り氏はここでは演奏するべきではないと言う。ところが回りで寝ていた人々が起き上がり拍手で迎え、「浜辺の歌」を演奏し、雰囲気がだんだん軽やかになるのを感じた。「みんなにも明るい未来があります。頑張ってください」とメッセージを残し、今度は早稲田さんの「チャールダッシュ」で元気を届けた。

6-1.1石巻市立女子高等学校.jpg6-1.1門脇中学校体育館(避難所)での慰問演奏.jpg6-1.1門脇中学校体育館(避難所)での慰問演奏、浜辺の歌.jpg



6月3日(金)チャリティトーク&ライブin東京(カトリック渋谷教会)
3日に行われたカトリック渋谷教会でのコンサートは氏の親友、大倉正之助さんが歌手のミネハハさんほか多くのゲストを呼んで開催された。ギトリスはバッハの無伴奏パルティータを演奏。300名以上の観客がその響きを教会の静謐な空間で楽しんだ。この日のチケット収入625,500円、献金280,080円はカリタスジャパンを通じて義援金として同教会より寄付される。

6-1.3-渋谷カトリック教会1.jpg6-1.3-渋谷カトリック教会2.jpg



6月6日(月)  チャリティコンサートin名古屋(宗次ホール)
6日には名古屋・宗次ホールでのコンサートには、ギトリスの愛弟子で日本フィルコンマスの木野雅之さんとピアニストの平澤匡朗さん、大倉正之助さんを迎え、クライスラーの名曲をはじめ小品中心の演奏会となった。宗次ホールより、収益の404,325円は仙台フィルを中心とした「音楽の力復興センター」事業のために寄付される。


6月10日(金)  チャリティコンサートin東京(浜離宮朝日ホール)
6-1.10浜離宮.jpg10日(金)には浜離宮朝日ホールでのチャリティコンサート。大倉、木野両氏に加えてこの日のために特別結成されたアンサンブル「フレンズ・オブ・イヴリー」との共演による公演が行われた。収益559,273円と当日の募金114,071円をあわせた673,344円は、主催のギトリス招聘実行委員会より(社)石巻災害復興支援協議会を通じて義援金として寄付されることとなった。

3公演での寄付金合計金額は1,983,249円となったが、今回の招聘に際してイスラエル大使館、宗次ホール、㈱コアより協賛金ならびに招聘分担金をいただいた。


6月24日(金)
6-1.24石巻復興支援協議会.JPG 石巻市を訪れ、ギトリス受け入れに際してお世話になったカリタス仙台の川原克博さんと面会。ギトリスの「訪れた二つの避難所に義援金を役立ててほしい」という意思から、現地で中心的に活動する石巻災害復興支援協議会(http://gambappe.ecom-plat.jp/)を紹介していただき、支援のニーズを聞く。先方からは「長期の避難所生活でダニが大量発生するなど環境対策が急務」と伺い、義援金をこのために使っていただくこととした。
この日は同協議会のミーティングに参加させてもらったが、全国から集まる各分野のボランティア団体がその日の活動報告を行う様子(NPO○○です。○○の避難所で炊き出し5000食を行いました~○○ボランティアグループです。今日は○○地区で10トンの瓦礫を搬出しました、等)からは強い熱意が伝わり、ちょうどその日のニュース23でもその活動が取り上げられていた。協議会の中川事務局長は「今後夏の季節になり避難所から仮設住宅に移ると、支援のニーズも分散・多様化するが、長期にわたる細やかな支援が求められボランティアの存在がより重要になる」「いっぽうで同協議会が震災後に設立された新団体のため、国の助成金(一定の活動期間が申請の条件とされる事が多い)を十分に得られておらず支援に支障が出かねない」とし、円滑な支援を後押しするため義援金の一部をその活動のための支援金とさせていただくことにした。

忙しいスケジュールの合間を縫って、ギトリスはインタビューにも精力的に応じた。その様子は時事通信ドットコム(http://www.jiji.com/jc/zc?k=201106/2011060100641)、朝日新聞(6月9日東京版)、サラサーテ8月号、ぶらあぼ8月号、ストリング8月号、レコード芸術8月号でそれぞれ報道されている。



 「愛する日本のために、必要とあればすぐに日本を訪れたい」「演奏家の来日中止が相次ぐなか、自分が訪れることで安全をうったえ他のアーチストの来日を促したい」との言葉に心動かされ、また出演者をはじめ公演にご来場いただいた多くの皆様のご協力のお陰で招聘を執り行う事ができました。あらためて心よりお礼申し上げます。ギトリスは11月来日に際しても被災地への訪問を希望しており、引き続き氏の活動を見守っていただければ幸いです。